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逸失利益について

家事労働の逸失利益

高齢者の逸失利益として問題になりやすいものに家事労働があります。
「家事」とは、具体的には、炊事・洗濯・清掃・子育て等をいいます。
今日では、家事労働の逸失利益は、一般的に認められる傾向にありますが、「家事」を行っていたすべての被害者が逸失利益を認められるというわけではありません。

同居の有無

【1人暮らしの場合】
認められないことが多いです。
家事労働の中で逸失利益として評価されるためには、他人(同居する家族)のためにする労働であることが必要です。1人暮らしの高齢者が事故にあい、家事や身の回りのことができなくなったとしても、休業損害や逸失利益は認められないことがほとんどです。

【同居家族がいる場合】
家事労働を行う者は、妻(主婦)に限らず、夫(主夫)であってもよいとされています。
同居する息子や娘、孫のための家事であってもよく、同居家族で息子の嫁が家事を行っているような場合でも、被害者の提供する家事労働の内容、程度等により、財産的な価値あるものと評価できれば、基本的には逸失利益が認められることになります。

家事従事者の死亡逸失利益の計算の仕方

死亡による逸失利益を計算する場合には、
逸失利益=①基礎収入額×(1-②生活費控除率)×③就労可能年数に対応するライプニッツ係数 
という算式になります。

①基礎収入額
基礎収入額がいくらかで逸失利益が大きく変わってくることになります。
高齢の家事従事者についての判例では、女子労働者の全年齢平均賃金あるいは、65歳以上の平均賃金を一定程度減額したものを基礎収入とする例が多く見られます。
同じ高齢者であっても、それぞれの健康状態、家族構成、家事労働の実態等を具体的に検討し、その評価が行われます。

※上記は、裁判になった場合の基礎収入額の基準ですので、任意保険会社との示談交渉においては、この基準がそのままま認められることはほとんどありませんので、ご注意ください。

②生活費控除率
被害者が死亡すると、生きていれば当然必要な生活費がいらなくなります。
逸失利益の算定において、基礎収入の一定割合を控除するのが一般的な方法です。
生活費控除率は、被害者の家庭での立場に応じて、収入の30%~50%の範囲で決められることが多いです。
例えば、年収が500万円の人が、生活費控除率50%だとすると、250万円を生活費のために支出したとみなして
計算されることになります。

③就労可能年数
被害者が就労して収入を得られるのは何歳までにするかという問題です。
通常、55歳未満の人は67歳まで就労可能とし、55歳以上の人は平均余命の2分の1で端数を切り上げた年数で計算されることが多いですが、家事労働の場合は特に事案ごとによって異なります。

計算例

夫と2人暮らしの65歳専業主婦女性が死亡した場合の逸失利益の計算
基礎収入⇒平成17年度女子労働者全年齢平均賃金の50% 
生活費控除率⇒40% 
ライプニッツ係数⇒平均余命年数(24年)の2分の1で計算
逸失利益=(3,434,400円×0.5)×(1-0.4)× 8.8633 = 9,132,035円

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