後遺障害の逸失利益計算基準
後遺障害の逸失利益について、自賠責保険基準、任意保険基準、弁護士会基準を記載しました。
自賠責保険基準
逸失利益=事故前1年間の収入額×労働能力喪失率×就労可能年数のライプニッツ係数
| 被害者区分 | 事故前1年間の収入額 |
| 有職者で現実収入額の立証が可能な者 | 1. 事故前1年間の現実収入 2. 後遺障害確定前1年間の収入額 3. 「年齢別男女別平均給与額」×12ヶ月 上記1~3のうち一番高い額を使用 |
| 有職者で現実収入額の立証が困難 な者・家事従事者、18歳以上の学生 |
症状固定時の年齢の 「年齢別男女別平均給与額」×12ヶ月を使用 |
| 働く意思と能力を有する無職者で被 扶養者がいない者 幼児・18歳未満の学生 |
18歳の「年齢別男女別平均給与額」×12ヶ月を使用 |
| 働く意思と能力を有する無職者で被扶養者がいる者 注:働く意思と能力を有する無職者とは、失業者等のことです。 |
1. 18歳の「年齢別男女別平均給与額」×12ヶ月を使用 2. 「年齢別男女別平均給与額」×50%×12ヶ月を使用 上記1~2のうち高い額を使用 |
事故前1年間の収入額
事故前1年間の収入額は、被害者区分ごとに、適用される基準が変わります。
自賠責保険基準の場合、現実の収入額が低い者に対しては、「年齢別男女別平均給与額」という基準を用いて損害額の算定をするようにしておりますが、任意保険基準や弁護士会基準においては、このような被害者にとって有利な取り扱いはされておりません。
労働能力喪失率
後遺障害等級表に記載されております喪失率が適用となります。
このことは、自賠責保険特有の基準で被害者救済の意図が顕著になっています。
自賠責保険以外の損害賠償算定においては、被害者の障害の部位、程度、被疑者の性別、年齢、現実の減収額等を考慮し、妥当な労働能力喪失率を決定していきます。
例えば、後遺障害11級の認定をうけたすべての人が、当該等級に該当する労働能力喪失率20%を認められるとは限らないのです。
就労可能年数のライプニッツ係数
ライプニッツ係数とは中間利息控除率のことです。
自賠責保険では、一率年5%の中間利息控除が行なわれます。
わかりやすく言えば、10年後に(年5%の福利計算をして)100万円にしたい場合、今いくら貯金をすればいいのかを計算するようなものです。
逸失利益による損害額は交通事故がなければ将来もらえるだろう金額です。
将来における損失分をまとめて今もらうことになるので、就労可能年数の期間、そのお金を年5%で運用すれば得られるであろう利益が控除されるのです。
任意保険基準
事故前1年間の収入額×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
| 被害者区分 | 事故前1年間の収入額 |
| 有職者で現実収入額の立証が可能な者 | 事故前1年間の現実収入 |
| 有職者で現実収入額の立証が困難な者・家事従事者、18歳以上の学生 |
全年齢平均給与額 |
| 身体、精神に特別異常がなく十分働く意思と能力を有している無職者 |
18歳平均給与額または年齢別平均給与額の50% |
事故前1年間の収入額
事故前1年間の収入額は、被害者区分ごとに、適用される基準が変わります。
自賠責保険基準の場合、現実の収入額が低い者に対しては、「年齢別男女別平均給与額」という基準を用いて損害額の算定をするようにしておりますが、任意保険基準においては、このような被害者にとって有利な取り扱いはされておりません。
現実の収入が基本となります。
労働能力喪失率
被害者の障害の部位、程度、被疑者の性別、年齢、現実の減収額等を考慮し、妥当な労働能力喪失率を決定していきます。
自賠責保険基準のように、14級が必ず5%、12級が14%の喪失率が認められるとは限りません。
判例等を参考に任意保険会社に主張していくことになるので、是非ご相談いただきたいです。
労働能力喪失期間
任意保険においては、障害の部位、程度、被害者の年齢、性別、職業などを勘案して、妥当な労働能力喪失期間が認定されます。14級では5年、12級では5~10年というのが多くみられます。
※任意保険の請求においては、労働能力喪失率、労働能力喪失期間を各事案ごとに被害者側のすべての事情を考慮して判例等を参考にしながら、主張、請求していく必要があります。
一般の方には、とても難しいことです。
後遺障害の賠償金は、金額も多額になるため、是非専門家にご相談されることをお勧めいたします。
弁護士会基準
事故前1年間の収入額×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
事故前1年間の収入
収入額は、原則として事故前の現実収入額とし、現実収入額以上の収入を将来得られる立証があればその金額を算定基礎とします。
事故前の現実収入額が賃金センサスの平均賃金を下回っている場合でも、将来平均賃金程度の収入を得られる蓋然性が認められれば、平均賃金額を算定の基礎とすることができます。
若年労働者(概ね30歳未満)の場合は、原則として全年齢賃金センサスが用いられます。
労働能力喪失率
労働能力喪失率は、後遺障害等級に対応する労働能力喪失率を基準とし、職種、年齢、性別、傷害の部位・程度、減収の有無・程度や生活上の障害の程度などの具体的稼動・生活状況に基づき定められます。
労働能力喪失期間
労働能力喪失期間は、原則として就労可能年限まで喪失するものとします。
ただし、比較的軽度の機能障害や神経障害については、その内容・程度と労働・社会生活への適応見込みなどの具体的状況により、喪失期間が限定されることがあります。
◆四肢切断のような欠損障害や下肢短縮などの変形障害については、就労可能年限(67歳)まで喪失期間を認める判決が多いです。
◆機能障害や神経障害についても上記と同様ですが、程度の軽いものについては、その障害の部位・程度、年齢機能 回復の見込みなど具体的状況に応じ、労働能力低下の状態が継続する期間を一定年数に限定する例があります。
◆むち打ち損傷については、自覚症状を主体とするため喪失期間の決定に困難が伴います。
後遺障害等級12級12号 (他覚的に神経障害が証明されるもの)該当については5年ないし10年の、14級10号該当については5年以下の労働能力喪失期間を認めた例が多いです。



